アメリカのミネソタ州のラムズベリ・ハイスクールに日本の松山市から高校交換留学に参加している吉田啓太君から、ホームスクーリングについての質問メールが来ました。家で、中学や高校授業を行う「ホームスクーリング」となどういうものでしようか。
アメリカの国土は広く、日本の26倍あります。例えば、アメリカ国内をグレイハウンド(大陸横断バス)で旅をすると、都会から相当離れたところの小さな町に人が居住していたり、規模が小さい集落が散在していたりする景色を見ることがあります。日本からの高校留学生などは「どうして、こんなところに人が住んでいるのだろう? 買い物はどこでするんだろうう? 住んでいる子供たちはどこで教育を受けるのだろう?」と疑問に思うことがあっても不思議ではありません。
アメリカの教育制度では、家庭を拠点に学習指導する「ホームスクーリング」という在宅教育があります。近年はインターネットを利用して学んだり、親が教師となって子供を教えたり、チューターと呼ばれる家庭への派遣講師が訪ねてきて勉強を教えたりするケースが少なくありません。
町の規模や所在条件とは別に、安全面や教育の質、家庭の宗教事情、高等学校などの教育に対する不満を理由にこの教育方法が思う以上に普及しています。アメリカ国内で250万人程度の小中、高校生生がこの制度を利用しているといわれます。
このシステムの良いところは、部分的に学校クラスに参加したり、オンラインで好きな授業を選んで受けたり、近くの町の高校に行ってスポーツ活動だけに参加したり、あるいは集落のスポーツクラブに加入することを教育機会の一部とすることができることです。
この制度を利用するには、最寄の教育委員会に規定の届出を行うことでどこの家庭でも開始ができます。教育委員は家庭を定期的に見回り、教育相談や教科書の提供、共通テスト広報による支援をして管理を行います。アメリカでは、義務教育の終わりに SAT、ACTという大学進学共通試験があり、これで進路を決めることから、日本の義務教育制度と違う形で教育を進めています。