アメリカは訴訟社会

アメリカは訴訟社会といわれて、さまざま案件が法律家に委ねられる場合が少なくありません。日本からの高校留学生の滞在先での偶然の出来事も例外ではありません。日本では、問題にならないことでも、アメリカでは重大に扱われたり、大問題に発展することがあります。アメリカでは十代の高校生といえども、日本の未成年に対する扱いや意識と違って、その各年齢経験にそって一定の責任を各自に負わせようという考えがあるからです。
留学生に科せられた損害賠償に関わる経験談を紹介します。日本人留学生がサッカーをやっていてボールがよその家の囲いを超えて庭の中に入ったことがありました。その生徒は、家人の許可を取って庭に入れてもらいボールを取りました。しかし、この一件で後日訴えられることになります。家人いわく「庭の芝生を新しく変えたばかりのところへ生徒が庭に入り歩き回り芝生が傷ついたのでそのメンテナンス代金を弁償してほしい」といものでした。生徒は「家人の許可を取って庭に入ったのだから許して欲しい」といいましたが「その生徒が芝生を傷つけたのは事実」として、庭師の人件費などを含めて$1280の請求がきました。別の例として、留学生が日本に帰国後、そのホストファミリーよりその生徒が滞在した部家のカーペットの修理費用の請求書が届きました。「生徒が日本に帰国退去したあとで、絨毯にマニキュアがこぼれていたのが発見された」と部家の写真が添えられていました。カーペットは部屋いっぱいに敷き詰められているため、その部家分全ての面積分を張り替えるという大工事になり$2600以上かかりました。これらの弁済費用は、全て留学生保険の賠償責任保険契約によって加入先の保険会社から全額支払われ事なきを得ました。米国社会では、自分が負った損害がある場合は、それを主張する習慣があります。日本のようにうやむやに物事をすませることが少ない社会であることを理解して生活する必要があります。

アメリカの医療システム

kyukyuアメリカで事故や病気発生時の通報先とその治療費用について今回はお知らせしたいと思います。緊急、消防、警察は全て911番で通報します。アメリカでの緊急時は ”Help!Call911“と言います。911番に電話すると、緊急センターにつながり
・911. What’s the location of the emergency? (そこの住所は?)
・What’s the emergency there? (どんな緊急事態ですか?)
・What’s your name? (あなたの名前は?)
と聴かれます。そこで救急車を要請すると救急支援会社へつながります。
アメリカでは救急車は有料で、現場への距離、時間帯、救急隊員の人件費などの費用がかかります。最低でも$2000(日本円で20万円位)は必要になります。以前このブログで書きましたが、アメリカには日本のような国が運営する医療保険制度がありません。実費診療が基本なので医療サービスはひとつの贅沢品といえます。通常の病気診断と治療を受ける場合は、病院(英語のHospital は入院施設と検査設備を持った医療施設を意味します)に行くことはほとんどありません。まず、地域の総合医 GP(General Physician)の診断を受けます。GPは全ての病気の知識を持っているので、その種類や状況によってスペシャリストと呼ばれる専門医を紹介します。GPの診察は診てもらうのに$200以上、処方箋料$100以上、薬は処方薬局で実費購入するため $50~$100必要です。従って、風邪で発熱して医院にかかる場合はごの合計額が必要です。病気で入院治療を必要とする場合は、高額な入院費が必要です。病院の病棟の部家代金は、ホテルのスイートルーム位の費用が相場とされ、1泊食事付きで $1000以上のため、アメリカ人は入院を嫌います。入院しても3日位で患者の意志で退院します。さらに手術費用が高額で、盲腸の手術でも$8000必要なので、この病気で3日手術入院しただけでも$12000はかかる計算になります。
歯科医の治療費も診察料と治療技術料がかかるために1回の治療費は$1000を超えます。そのためにアメリカ人は自分で歯を抜く人もいます。また、お金が無くて歯科医にかかれず虫歯を悪化させる人もいます。メキシコに近い地域に住む人は、わざわざ国境を越えて物価の安いメキシコで歯の治療をすることも珍しくありません。怪我の外科手術は、それだけで$5000が医療相場の単位とされています。
高校留学生持ち物の怪我、病気、持ち物の紛失や盗難など、1年間の長期滞在中に何らかのアクシデントに見舞われる確立は低くありませんが、これらは渡航前に加入する海外留学生保険でほとんどがカバーされるので安心です。

カリフォルニアで起きた留学生事故

丁度、アメリカの留学生保険について前回のブログに記載した矢先に、アメリカの「カリフォルニア州サンデイエゴ」で発生した留学生の衝撃的な自動車事故報道がありました。アメリカでは、毎年数回の事件や事故が新聞などのメディアで報道をされますが、一度の日本人留学生関連事故としては近年で類をみない規模のものです。

日本人留学生3人自動車事故死 米サンディエゴ近郊の高速道路
米カリフォルニア州サンディエゴ郡オーシャンサイド市の高速道路で2014年8月21日深夜、18~22歳の日本人留学生8人が乗った乗用車が道路わきの電柱に衝突し、3人が死亡、5人が負傷した。
AP通信などによると、死亡したのは、運転していた男性(19)と別の男性(20)、女性(18)の3人。ほかに男性3人と女性2人が負傷した。
8人は同郡サンマルコス市にある2年制の州立パロマーカレッジの新入生で、18日から新学期が始まったばかりだった。警察や大学は、8人の名前を明らかにしていない。
8人は、2000年式のホンダ・プレリュード(定員4人)に乗って走行中、突然道路を外れ、土手を下って電柱に突っ込んだ。車は原形をとどめないほど大破し、消防隊員が駆けつけた際、8人は車内に閉じ込められた状態だったという。ヘリコプターで病院に搬送された負傷者もいた。地元警察は、定員超過のため複数の学生がシートベルトをしていなかったとみている。

アメリカでは事故が発生すると、その救護方法スケールも大きく、今回の事故ように被害者の救出にヘリコプターを使う場合もあります。今回はの事故では、犠牲者数が多いことから留学生2名の死亡保険金に、その他の生徒の治療費、救護救援費用、損害賠償額、被害者家族の現地渡航費、さらに後遺障害補償を加えると十億円規模の保険金規模になることが予想されます。高校留学生が、これだけのアクシデントに巻き込まれる可能性は少ないのですが、万が一の場合に備えて、留学生保険への加入は重要です。備えあれば憂いなし、海外生活は日本の日常と異なることを理解して頂きたいと思います。

高校留学中のサポート

留学参加者の5人にひとりの割合で程度に差はありますが1年間の留学期間中にケガや風邪などの体調不良、あるいは持ち物の紛失、盗難に直面しています。高校留学生の現地生活のサポートは、通常ホストファミリーとコーディネーターの連携によって行われます。医院に連絡して生徒を診察に連れて行ったり、貴重品紛失の場合は警察へ届ける支援などをしてくれます。しかし、これらが英語で行われるため、海外生活経験の浅い高校生は、不安な状況を過ごすことが多いのも事実です。アメリカと日本の医療制度の違いは大きく、すぐに自分に適切な診療を受けることが出来なかったりする場合があります。
高校留学を取り扱う日本の団体は、その団体組織と保険会社の提携で、留学生の事故、病気、盗難、救護体制を整えている場合がほとんどです。日本側の高校留学募集団体は、留学生がメールやコレクトコールで連絡をすれば、どのように対処するべきかを助言してくれて、現地のホストファミリーや日本の両親に連絡を取るなど機敏に反応してくれます。
ところで、アメリカでは救急車は有料です。救急搬送サービス、緊急医療サービスも高額で、留学生自身に過失があるとその損害賠償を請求されることがあります。未成年者といえども日本の常識では考えられないような事態が発生した例が報告されています。それに対応するのが「留学生保険」の利用です。長期留学はもちろんですが、短期の留学でも海外生活では何が起こるか分かりません。アメリカの医療費は高額で、盲腸炎程度の手術で入院したケースでも莫大な費用が発生します。留学保険は契約内容によって以下の保障内容のものがあります。
●旅行中の事故によるケガが原因で、死亡したり後遺症が発生した場合。
●さまざまな事故によるケガや病気の治療、入院をする場合。
●入院などで親族が現地に緊急で駆け付ける場合(救援費用が摘要)
●救護活動の救急車、レスキューなどの経費
●旅行中に病気で死亡したとき。
●店の商品を壊したなど、損害賠償を負ったとき。
●盗難にあったり、携行品を破損したとき。
●搭乗時に航空会社に預けた手荷物の到着が遅れた場合。
●搭乗予定の航空機が遅延、欠航、運休になったときの費用保証。
虫歯の治療は通常、留学保険対象とならないので、高校留学生は、出発前に歯の検診を受けて異常があれば治療を済ませておくことをおすすめします。

アメリカ高校留学のホストファミリー

familiaアメリカ高校交換留学プログラムでの受け入れ先となるホストファミリーは、ボランティアの家庭です。すなはち「無償」で高校生を受け入れています。海外からの留学生の食費、滞在費はこの受け入れ先の家庭によって提供されています。ホストファミリーはキリスト教の家庭が多く、その寛大な宗教精神のもとで海外からの生徒を熱心に受け入れています。実際にホストファミリーは、教会活動や福祉活動などの団体ネットワークを通じて募集されることが少なくありません。さらにホストファミリーは、その家庭に地域の公立高校に通学している中学生、高校生の年齢の子供がいることが条件に選出されることが一般的です。何事にも合理的なアメリカ人気質からいうと、ホストファミリーは海外からの高校生を受け入れることに「多くの期待」を持っているのも事実です。ひとつは、アメリカ人にとっての外国の異文化を知りたいという希望です。移民国家として発展してきた歴史を持つアメリカは、異文化に積極的に接する土壌が培われています。その他、「チョア」という家事手伝いや子守を手伝って欲しいという事情や、キリスト教会活動を支援して欲しいという期待による場合もあります。留学生は、毎週末に教会で開催されるミサや季節毎のバザーへ家族と共に参加する機会が少なくありません。アメリカ社会は、YMCA、YWCA、救世軍活動などの宗教精神に根ざした社会であることも理解して高校交換留学に参加することが望まれています。

小学生から大学生まで対応★TOEFLテスト

日本を含むアジア各国の英語学習の開始状況は、シンガポール、フィリピン、インドネシア、タイで小学校1年から、韓国、中国、台湾では小学3年から実施されています。日本でも文科省が英語学習を小学3年に前倒しして取り入れられる計画です。
英語の国際的な検定テストも近年異常なほどの多様な広がりを見せ、英語資格の覇権争いでもあるように感じることがあります。例えば、TOEFLテストひとつをとっても、 TOEFL-IBT、TOEFL ITP Test、TOEFL Primary Test、TOEFL Junior Test で TOEFLファミリーを形成して、このテストの国際的シェアの拡大を目指しています。TOEFLテストの中では、TOEFL Junor Test が英語を母語としない若年向け英語力測定テストとして、日本では文科省が推奨テストとして認定しています。
TOEFL Primary Test が8歳以上の受験者を想定しCEFR のA1-A2、 TOEFL Junior Test が11歳以上でCEFR A2-B2レベルをカバーする測定テストに設計されています。これ以上のレベルは、TOEFL-IBT、TOEFL ITP Test の上位テストでCEFR C1レベルまでをカバーしています。TOEFLテストは2014年現在、全国の8会場(札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡)で実施されています。
ETSは、「TOEFLテストは、習熟レベル・認知レベル・年齢レベルに応じて作成された課題を通して、コミュニケーションスキルと英語学習者の英語運用能力を測定できる英語検定」であると発表しています。アメリカ高校交換留学には、TOEFL-IBTテスト、または、TOEFL Junior Test のスコアを利用して申し込むことができます。

多様化する留学テスト-ELTiSの登場

ELTIS英国留学の新英語テストUKiset ついては、以前のブログでご紹介したとおりです。これに対抗するように、アメリカ高校留学のSLEPテストに替わる ETSのTOEFL-Juniorテスト利用なども進められてきました。今年は、これに加えて、ELTiS=エルティスが発表されました。
ELTiS(English Language Test for International Students)は、アメリカの高校授業を受けるのに必要な「聴解力」や「読解力」を審査する高校生のための英語能力判定テストです。SLEPに替わる新たな英語レベルチェックテストとしてCSIETが開発され、現在ホームページで紹介されています。
このテストには、英語の文法語法や長文問題に加えて、基礎的な算数問題を含む高校レベルの一般教養問題に答える要素が加わっています。アメリカの高校が留学生の受け入れに際して、ELTiSのスコアを求めることになります。ELTiSの得点として80点(100点満点)が必要です。エルティスはどんなテストなのかご紹介します。試験時間は約80分で休憩はありません。 
構成と問題数:
◎リスニング24問(約30分)
  Part 1:  Follow Classroom Directions(クラス指示の理解)
  Part 2:  Comprehend Mathematical Language(数学的言語の理解)
  Part 3:  Understand Classroom Dialogue(クラス対話の理解)
  Part 4:  Listen and Respond to Academic Lectures(学問講義の理解)
◎リーディング26問(約50分)
  Part 1:  Demonstrate Vocabulary Knowledge(語彙知識の理解)
  Part 2:  Read a Graph(グラフを読解)
  Part 3:  Read and Respond to Academic Texts(学問用語の読解)
解答では、リスニング問題は三者択一、リーディング問題は四者択一のマークシート方式です。尚、資格試験対策ELTiSの受験ガイドはエース留学センターでも配布される予定です。

高校交換留学のコーディネーター

アメリカ高校生交換留学のプログラムには、この催しを支援する多くのボランティアが運営にかかわっています。全米には、数百名のコーディネーターと呼ばれる人々のネットワークが存在します。各州には、その州全体の高校生交換留学プログラムを管轄するステイト・コーデイネーター、またはリジョナル・ディレクターと呼ばれる人がいます。これを担当している方は、各州在住の有志で、ライオンズクラブやキリスト教財団のメンバーとして奉仕活動に通じた方や、リタイヤをされて社会活動に従事されている著名な方の場合が少なくありません。さらに、各地域にはローカルコーディネーターとよばれる方がこの活動を支援しています。現役の教師や元教師、専門職、主婦など、老若男女を問わず様々な人々が活動を支えています。いずれの方も異文化交流の大切さを熟知しています。ローカルコーディネーターは、高校交換留学プログラム
にとって各コミュニティにおける代理人の役割を果たします。ホストファミリーを希望するファミリーの面談を行います。面談のため家庭を訪れる際には、家族全員がその場に居合わせるよう依頼します。一家がホストファミリーとしての役割を理解しているかどうかを確認し、留学生が寝起き、晩強する部屋も確認します。一家全員が留学生を受け入れることに同意しているかを確認することもコーディネーターの仕事です。
ローカルコーディネーターの役割は、
1)ホストファミリーの事前の調査、面談を行う。
2)留学生の到着に先立ち、ホストファミリーと受け入れの打ち合わせを行う。
3)留学生およびホストファミリーの指導、カウンセリング、必要に応じて留学生宅を訪問する。
4)本部に留学生の生活や学習状況について状況報告を行う。
5)万一の緊急時には、留学生やホストファミリーの援助にあたる。
ローカルコーディネーターはアメリカ留学機関本部より随時指導打ち合わせを受けており、毎年行われる研修ミーティングにも参加しています。また、ローカルコーディネーターは留学生をはじめ、ホストファミリーや学校側の日頃の相談役にもなります。問題が生じた場合は、迅速にリジョナル・ディレクターや本部へ連絡をします。この他、各種活動や旅行、文化イベントを企画するのもコーディネーターの役割です。

UKiset の登場

UKTest英国中等教育課程(日本の中高等学校レベルの教育機関)への進学英語能力適正テスト UKiset(ユーケー・アイセット)が昨年より発表され、昨日、日本の英国教育省の出先機関 British Council で紹介されました。このテストは、主にイギリスの私立高校、ボーデイングスクール(寄宿舎制高校)への英語能力入学適正試験として開発されて、2013年よりインターネットを利用したオンラインテストとして運用が開始されて、世界的な広がりを見せています。テストの対象者は英語を第二言語とする10才~17才の学生で、イギリスの中等教育課程に留学を目指す生徒の能力適性を計ります。試験の時間は約2.5時間で、英語の「読む、書く、聴く、話す」に加えて、「英国学校の学習適正」を計る5つのセクションで構成されています。英国の教育財団 Gabbitas Education により企画されて、ケンブリッジ大学語学センターによって開発された背景から、IELTSのテスト形式に相違するパターンのテストです。ライティング・セクションは自分の意見を英作文形式で述べなくてはならないために、この年代の日本の生徒には極めて難しい取り組みといえます。従って、このテストを受験するためには、少なくとも日本のインターナショナル・スクール等で専門的な英語教育を受けているか、または UKisetの受験対策指導を特別に受けて受検の準備を行う必要があります。日本では、東京の British Council で受験料£160(変更の可能性有り)で予約受検ができます。今後の見通しとして、イギリスの高校留学は、このテストの普及によって難しくなることが予想されます。

TOEICテストについて

TOEICテスト(トーイック)は Test of English for International Communication の略称で、英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通のテストで、世界約61ヶ国で実施されています。公式テストとIPテストがあり、IPテストは団体特別受験制度によるもので公開テストをTOEIC委員会IIBCへの登録により団体一括受験として行うものです。
TOEICテスト結果は合否ではなく、10点から990点までのスコアで評価されます。評価の基準は常に一定であり、受験者の能力に変化がない限りスコアも一定に保たれます。これにより受験者は正確に現在の英語能力を把握できたり、目標とするスコアを設定することが可能です。ListeningとReadingという受動的な能力を客観的に測定することにより、SpeakingとWritingという能動的な能力までも含めた、英語によるコミュニケーション能力を総合的に評価できるように設計されています。テストは英文のみで構成され、その国独自の文化的背景や言い方を知らなければ解答できないような問題は排除されています。
公開テストは現在IIBC主催により日本国内主要都市で毎月受検ができます。海外では韓国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスでも現地の委託機関によって開催され、受検が可能です。今回受検不正があったイギリスではこの委託機関の管理不備によるものと指摘されています。
IPテストは、企業・官公庁・学校等では2014年度に約2960団体が採用しています。企業では自己啓発や英語研修の効果測定、新入社員の英語能力測定などといった目的の他、海外出張や駐在の基準、昇進・昇格の要件としても利用されています。大学・短大では英語課程の単位認定や推薦入試などでも利用され必修とされています。