みなし満点制度-大学入試

最近、耳慣れない言葉を聞くことがあります。それは、「みなし満点センター試験免除」という言葉です。それは何でしようか?
近年、文部科学省の中央教育審議会で、英語の外部試験を大学に入試に活用するという事案が検討されてきました。既に、大まかなことは決まった模様で、中央審議会では細部を煮詰めているとの報道です。同時に、いくすかの私立大学や国立大学においては、英語の外部テストの成績や合否を大学の受験審査の要素とすることを独自に決定しているところもあるようです。
「みなし満点」とは、例えば、英検準1級を持っている受験者にセンター試験の英語を200点満点与えというもので、これは、TEAP、TOEIC Test、TOEFL iBT、GTECでも、CEFR国際基準評価によって認定するというものです。
ところで、東京オリンピックの開催される2020年には、大学の入試要項も現在のセンター試験から新制度に移行されることは文科省で決められており、英語に限らず、他の科目でも記述式の問題を増やして、受験生の多様な能力を測る方針になることが報じられています。
こういった試験制度の変換は、留学生や英語が得意な生徒にとっては大学受験克服のチャンスでもあります。AO試験でも、英語の資格を全面に出した多様な受験が可能になるものと予想されます。少子化が進むことで、日本は海外の教育制度に近い教育システムを導入して、一人一人の個性を重視した教育を行うことが望まれています。そういう状況から、アメリカの大学進学制度試験SATや、イギリスの大学進学検定試験GCSE、さらには国際バカロレアのような大学進学国際基準の検討が開始される可能性もあります。
日本の教育も、世界基準を軸としたシステムにならざるを得ない時期に入ったといえるでしょう。
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TOEIC検定資格は重要

 京都府の中学校英語教師を対象にして開催された今年度のTOEICテスト結果についての問題が、昨日の毎日新聞電子版に掲載されました。このテストにおいて、TOEICの合格レベルとされている700点台に到達できたのは、受験した教師のわずか20%という結果でした。これは5名にひとりしか合格できないことになります。5年後に英語の大学受験内容が、より実務的なものに文部科学省の大学入試改革で改編されることが決まっている状況から、英語を教える先生の英語検定の合否結果が重視される傾向にあります。
 中学の先生のTOEICスコアが低いことが、英語の先生としての資質の低さを示すものではありませんが、英語の指導内容の国際化に伴って、「使える英語」として教師自らが学習した上で英語の指導することが求められます。特に、コミュニケーション・ツールとして英語を考えた時にスピーキング技能やリスニング技能の強化に重点を置くことが求められます。近い将来、英語の先生になる条件としてTOEICなどの英語検定に合格していることが条件となる可能性があります。
 
 ところで、高校留学に参加する生徒も、大学への進学ではTOEICなどの点数や、英語検定試験合否が大学受験に合格する条件になるので、できる限り早い時期から生きた英語をマスターする学習を開始して下さい。

京都府の中学英語教員、TOEIC合格がわずかで疑問も
(毎日新聞2017年2月11日 16時18分より)
 京都府内の公立中学校(京都市を除く)の英語科教員を対象に、府教委は英語能力テストTOEICの受験を支援している。2016年度に約750万円の予算を組み、セミナーの受講費や受験料も負担した。一度で目標とする730点以上(英検準1級に相当)に達しなかった教員には2回目の「再試験」もあった。しかし、「合格」したのは対象者74人のうち16人。9日に結果を発表した府教委は「先生たちには本気になってもらいたい」と不満を漏らすが、専門家や現場からは懐疑的な声も上がっている。次期学習指導要領で、中学での授業を英語で教えることを検討していること、国が英語科教員に英検準1級程度の英語力を確保するよう呼び掛けていることを踏まえた。府教委は16年度、英語教育の基盤強化中心事業として、TOEIC受験の支援を打ち出した。50歳未満で英検準1級程度に達していない英語科教員約150人を対象にし、16年度は74人が参加した。
 昨年6月のTOEIC試験では、4人が目標を達成。残る70人は、8~10月に民間業者による集中セミナーを3回受講するなどし、2回目のテストに臨んだ。最終的に計16人が目標を達成し、最高点は885点だった。しかし、58人は730点未満で、最低点は280点だった。58人には3回目の受験を課す。府教委学校教育課の立久井聡課長は「英語教員としての資質が問われかねない」と危機感をあらわにする。
 一方、英語教育学専門の杉本義美・京都外国語大教授は「点数が高いから良い先生とは必ずしも言えない」と指摘する。TOEICはリスニングと読解の力を知るには有効と評価しているが、会話力は測れない。「英語で授業を教えるには相当なスピーキングと指導力が必要で、授業研修に一層力を入れる必要がある」と説く。
 受験ムードに困惑している教員もいる。宇治市の中学校で英語を教える50代の男性は「現場には大きな負担」と説明する。男性は30代で英検準1級を取得。より良い授業をしたいと思う一方、英語指導以外の業務が多い。授業の準備に満足な時間が割けない教員も多いという。「英語力を上げるなら試験勉強ではなく、ネイティブスピーカーを囲み少人数で英語を学べるような機会を作ってほしい」と望んでいる。
 府教委は教員の英語指導力向上を目的に、教員の研修や英検準1級受験の全額を補助しているが、ネイテイブスピーカーによる勉強会は開いていない。 TOEIC受験の支援事業は17年度も継続する予定で、新たに約70人が対象になる。立久井課長は「集中して勉強しないと点数は取れない。対象者がいる学校には、しっかり取り組める環境作りへの配慮をお願いしたい」と話している。

高校教科の標準数値化

9月28日のネットニュースで、教育改革に於ける高校成績の標準数値化問題が取り上げられました。
日本の文部科学省によると、今後5年を目処に、高校生の成績の標準数値化に乗り出す模様です。これは、大学進学時の大学入試適性試験(仮名)改革に伴うもので、現在の高校の成績が、学内で開催される試験の結果を中心に評価される状況を改めて、生徒の普段からの教科に対する就学姿勢と習熟度を総合的な「標準数値化」で示そうという試みです。
例えば、英語科目でいうと、その学校での英語授業での評価と試験成果に加えて、共通の検定資格である「英検」、「GTEC」、「TOEIC」などの点数成績をそれに加えて、さらに高校の留学プログラムや海外研修の学習成果と活動評価も吟味して、グレード化をしようというものです。高校間のレベル差も考慮に入れて、日本全体での共通評価とすることを最終的に目指すところとしているようです。
実は、この評定パターンはニュージーランドにすでに取り入れられているものです。それはNCEAと呼ばれ、そのシステムでは、希望者に限定してInternal という学校内評定とは他に、Generalという共通評価をニュージーランド文部省NZQAが与えるものです。それによって、高校のレベルに左右されることなく、この国での高校同学年全体での生徒の成績を把握することが出来るようになっています。
しかし、この制度にも問題があり、校内と国内共通の2重評価システムが、逆に高校そのものの個性をないがしろにしているという意見があります。また、国内共通の評価がオプションであるので、裕福で成績の良い生徒が主にNECAを利用するために、結局生徒の二極化を進める一因になるという皮肉な状況になっています。
日本であれ、海外留学であれ、生徒の評価システムが完全なものは存在してないようです。

TOEIC変更でのSLEPテスト

TOEICテストを主催するIIBC、通称TOEIC委員会は、TOEICテストを世界的な英語コミュニケーション能力テストとして充実するために、2016年5月29日の公開公式テストから新しい出題形式にすると発表しました。このテストには、英語・英会話の世界における、日常やビジネスシーンの英語によるコミュニケーション方法が反映されるものとなります。
TOEICテスト変更理由については、テスト研究・企画作成するETSのTOEIC担当セクションは、以下のようにアナウンスをしています。
「英語の使い方は日々進化、変化します。その劇的な変化に合わせて、テスト問題も進化し変化させる必要があります。TOEICテストが、現在使われている英語を反映し、そして受験者が必要とする英語のスキルを確実に測定するテストであるために、ETSでは、この度TOEICテストの出題形式を一部変更します」
このテストの出題形式一部が変更されることになりますが、検証を繰り返して行いTOEICスコアの算定要素が、出題形式の変更前後で変わらないことが既に検証されているとのことです。テストの難易度やテストの実施時間にも変更はないとされますが、受験者の再度では不安の残るところです。
このテスト内容の変更により、本年以降に、アメリカ公立高校交換留学制度、オーストラリア高校留学、カナダ高校留学、イギリス・ボーデイングスクール留学、ニュージーランド高校留学を目指す生徒の受験するSLEPテストの内容構成に影響がでることが予想されます。

大学センター試験の終焉

文部省が主催する「大学入試センター試験の改革」を審議する会議が12月22日に東京で開催されました。この会議では、現在の入学試験方式に代わる新たなテストの方向性が話し合われました。その意向によると、現在の大学入試センター試験を廃止して、平成32年度から新たに「大学入学希望者学力評価テスト」と改変するそうです。
その主な内容は、数学、英語、国語テストの解答をマークシート方式に加えて、記述式となる問題を導入するということです。英語試験では「聞く・話す・読む・書く」の4つの技能を測ることが検討されています。この英語テストのライテイング記述問題の例は、TOEFL IBTのライテイング独立問題に相違しているもので、制限時間内に200~300ワードで自分の意見をまとめて記述するというものでした。例題とすると、「あなたは、海外留学という制度が、国際社会の理解に役に立つという意見に同意しますか、しませんか?具体的な意見と理由を述べて、30分間の制限時間内に英語で記述しなさい。」というもので、生徒の英語の実力を計る試験としては相当に意義のあるものでした。しかし、この試験制度の問題点は、各受験生の解答を、どのように均一化して正しく評価するのか、さらに膨大な数の受験生の英語記述解答採点を短期間で行える優秀なスタッフを揃えられるかというところにあります。この採点システムの構築は不可能ではないとしても、優秀なスタッフを揃えて、採点評価マニュアルを完成するのには相当な時間がかかると思われます。
英語を母国語としない国々である中国や韓国を含むアジア諸国では、近年英語教育に重点が置かれるようになりました。日本でも、世界に通用する英語教育の充実が急がれていることはまちがい有りません。

英語のコアカリキュラム

最近伝わってくる文部科学省の話として、英語教員を学生が目指す場合の中心科目を規定して、コアカリキュラムとして作成することを発表したようです。大学の教員教職課程では、コアカリキュラムを編成することが求められそうです。コアカリキュラムは既に医薬学部で導入されていますが、教員養成ではこれからの取り組みです。大学入試の「読む」「書く」「話す」「聞く」の4スキルを指導する能力を学生に身につけさせようというものですが、はたしてうまくいくかどうかは疑問です。大学は卒業に必要な履修単位の3分の2程度をコアカリキュラムとして、3分の1は大学のカリキュラムで編成するとしていますが4年で125単位をどのように分けるのか難しいと思います。
現在の学校での英語教育では、高校を卒業しても英会話ができないと指摘されますが、ある意味、それはあたりまえのことで、韓国や中国でも高卒の生徒が英語の技能をマスターしている場合は少なく、日本人でも、高校という3年の限られた期間で完全指導するのは困難と思われます。とはいえ、「使える英語」とするため、文科省は近く次期学習指導要領で、小学5、6年生で英語を正式教科として、中学も英語による授業を基本にする見通しで、大学入試で4技能を評価する動きが加速しているために、英語教員の指導力向上が不可欠となりそうです。文科省は「英語教育改革の実践は、現職教員研修だけでは対応できないので、教員養成段階から英語指導力を上げる必要がある」と示しているようですが、実際、英会話をマスターするには留学経験がない場合と難しいと思います。
試験風景
 

SLEPテストの重要性

アメリカ高校生交換留学の申し込みに際しては、現在もSLEPの点数がプログラム参加と、実際の現地ホストファミリーへのプレースメントで重視をされています。このテストは最高得点を68点の偏差値算定による最高点として、獲得点を算定するのですが、アメリカ高校生交換留学参加合格には45点以が要求されます。このSLEP45点のレベルは、日本の英語テストを代表する実用英検で示すと「英検2級」より少し上程度といえます。従って、日本の高校で英語が得意な生徒、高校学年で英語トップレベルの生徒は達成が可能な点数といえます。テスト形式は、TOEICテストのようなマークシート筆記式で、リスニングとリーデイングの2英語技能を試す問題に、限られた時間内に答えるものです。近年は中国を含めたアジアからの参加希望者の増加で、規定点数が上がる傾向にあり、47点以上を獲得することが推奨されます。このテストで高得点を出すためには英単語力が必要で、アメリカの高校学科を理解できる内容のものまで範囲を広げて学ぶ必要があります。一番これに相違するテストは、TOEFL-ITP(PBT)ですので、近い将来高校留学を目標とする皆さんは、ぜひこのテストを体験して下さい。
slep-test

教員の英検資格取得率は高校55%、中学28%

2015年6月の産経新聞発表によると、全国の公立中学・高校で、英語を教える教員のうち、英検準1級以上の資格を取得しているのは、高校で55・4%、中学で28・8%であることが5月25日に文部科学省により発表された『2014年度英語教育調査結果』で分かりました。これは、前年度の、高校で52・7%、中学で27・9%からそれぞれ増えましたが、2017年までに高校で75%、中学で50%という日本政府の教育振興における計画の目標達成は厳しくなったといえそうです。中学生、高校生の英語力向上のために重要な教員に、その目標として課した英語資格のハードルが低くないことが分かりました。文科省は、教員は今後積極的に英検を受験して、講師自らの英語力を研鑽してほしいといっています。とはいえ、教職員の現実は、学校の授業での指導にとどまらず、クラス担任やクラブ活動まで学校からまかされることもあるので、多忙な毎日により極めて難しいといえます。そういう事情から、今後の教員採用時においては、これらの英語資格を持っていることが一定の条件として加味されそうです。

高校生 は「英語で書く」と「英語で話す」が課題

3月17日のNHK-WEBニュースより引用

高校生の英語力 「書く」と「話す」が課題
高校3年生の英語力を把握しようと文部科学省が初めて大規模なテストを行ったところ、「書く」力と「話す」力が目標のレベルに達していない生徒が9割近くに上ることが分かり、文部科学省は、授業や大学入試の在り方を見直して英語力向上に取り組むことにしています。
文部科学省は、英語を「聞く・話す・読む・書く」の4つの力がバランスよく身についているか把握しようと、全国の高校3年生およそ7万人を対象にテストを行いました。
現在、高校卒業時点の英語力の目標は英検準2級から2級程度とされていますが、このレベルに達していた生徒の割合は、「読む」が最も高く27.3%、「聞く」は24.1%、「書く」は13.5%、「話す」は12.8%で、「書く」力と「話す」力は9割近くが目標のレベルに届いていませんでした。
無回答で0点だった生徒も、「書く」については29.2%、「話す」については13.3%いました。
また、英語に対する意識を調べたところ、テスト結果が低い生徒ほど「英語が好きではない」と答えていたり、授業で英語を使った話し合いやスピーチをした経験が少なかったりする傾向が見られました。
文部科学省は「実践的な英語が身についていない現状が浮き彫りになった」として、学習指導要領や大学入試の在り方を見直して英語力向上に取り組むことにしています。

近年の国際化に伴い、文科省は小学校から英語教育を強化してきています。さらに中学校でも英語は英文法の教科を加えて毎日授業が組まれています。その教育成果は確かで、日本人の生徒は比較的に英文法テストで高得点を獲得できます。英単語の学習も中学、高校の英語授業で重点的に指導されるので、一定の読解力も養成されています。しかし、ここで日本人が苦手とされる「英語で書く」ことを教えるためには、生徒に文章をどんどん書かせて、それを先生が徹底した添削指導をする方法しかないため、一度で先生の添削ができる数に制限があり、さらに先生自身の高度なライテイング技術と豊富な作文経験が必要となることを考えるとその実現には相当な困難が予想されます。この英文ライテイング技術を身につけたい生徒は、まず英語日記からスタートすることを勧めます。毎日合ったことを英語で200~300ワードで書いて、最後の3行に自分の意見や、結論を書くようにすれば英作文力を養成することができます。もうひとつの課題である「英語で話す」ことを克服する授業を行うのは相当に難しく、中学・高校ではALTを上手に活用することが望まれます。生徒は、只話すのではなく、文章毎にテーマを決めて話を構成して、「英語で書く」ことと同じように最後に自分の意見や結論を言う練習をすることが必要です。英語で話す場合は、最初に自分の意見をしっかり示すことも必要になります。さらに、発音は重要です。「LとR」「SとTH」「MとN」はほとんどの日本人は正確に発音することが出来ません。この技術をマスターするのにはシヤドーイングが最適ですが、それができない人は「意識音読」を繰り返して発音技術を身につける練習をして下さい。この「意識」とは、単語に「LとR」「SとTH」「MとN」が含まれている場合は、その音と発声法をしっかり意識して正しく声を出して読むと言うことです。

英文リーディングの克服について

英語の読解力がつかない、この分野の点数が伸びないと悩む生徒がいます。特に、TOEFL iBT やIELTSアイエルツの読解問題ではこの傾向が顕著に現れています。これらの試験での英語リスニングやスピーキング、あるいは英文ライテイングは確実がスコアが伸びたのに、リーディングでの点数がなかなか伸びないケースは多くあります。実際に4つのスキルのなかで一番成果が出にくいのは読解セクションであることは事実です。この読解力を伸ばし、このセクションのテストで高得点を取るためには基礎力、応用力、さらに発展力が必要です。まず最初に必要なのが基礎力の基本となる英単語力です。広範囲な英単語とイディオム表現を含めた語彙が豊富でないと、英語の文章を読んで理解することはできません。逆に言うと、広範囲な単語力があれば、英文の大略を理解できるといえましょう。例えば、TOEICで800点を目指す場合は、最低8000程度の単語力が必要です。これは汎用単語と呼ばれる種類を中心とするもので、日本の中学から高校で学んだ英単語を含めて日常生活で自分の意志を伝えたり、ビジネス社会で一般的なコミュニケーションを不自由なくこなせるレベルの語彙範囲です。TOEFL iBT やIELTS はこれに学科単語が4000以上加わります。学科単語は、人類学-Anthlopologyから 物理学-Physics の22分野で、各分野平均200の単語が加わるからです。学科単語は、大学・大学院などで学ぶために必要となる基礎的な学術単語なので、普段の生活ではあまり使うことはありません。例えば、動物学Zoologyで出てくる hibernation-「冬眠」という名詞や、これに関連するhatch-「孵化する」という動詞は、まず日常の英会話においては、動物園にでも行かない限り使うことのない単語です。しかしTOEFL iBTやIELTSでは、重点単語のひとつとして覚えるべき英単語とされています。