日本を含むアジア各国の英語学習の開始状況は、シンガポール、フィリピン、インドネシア、タイで小学校1年から、韓国、中国、台湾では小学3年から実施されています。日本でも文科省が英語学習を小学3年に前倒しして取り入れられる計画です。
英語の国際的な検定テストも近年異常なほどの多様な広がりを見せ、英語資格の覇権争いでもあるように感じることがあります。例えば、TOEFLテストひとつをとっても、 TOEFL-IBT、TOEFL ITP Test、TOEFL Primary Test、TOEFL Junior Test で TOEFLファミリーを形成して、このテストの国際的シェアの拡大を目指しています。TOEFLテストの中では、TOEFL Junor Test が英語を母語としない若年向け英語力測定テストとして、日本では文科省が推奨テストとして認定しています。
TOEFL Primary Test が8歳以上の受験者を想定しCEFR のA1-A2、 TOEFL Junior Test が11歳以上でCEFR A2-B2レベルをカバーする測定テストに設計されています。これ以上のレベルは、TOEFL-IBT、TOEFL ITP Test の上位テストでCEFR C1レベルまでをカバーしています。TOEFLテストは2014年現在、全国の8会場(札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡)で実施されています。
ETSは、「TOEFLテストは、習熟レベル・認知レベル・年齢レベルに応じて作成された課題を通して、コミュニケーションスキルと英語学習者の英語運用能力を測定できる英語検定」であると発表しています。アメリカ高校交換留学には、TOEFL-IBTテスト、または、TOEFL Junior Test のスコアを利用して申し込むことができます。
多様化する留学テスト-ELTiSの登場
英国留学の新英語テストUKiset ついては、以前のブログでご紹介したとおりです。これに対抗するように、アメリカ高校留学のSLEPテストに替わる ETSのTOEFL-Juniorテスト利用なども進められてきました。今年は、これに加えて、ELTiS=エルティスが発表されました。
ELTiS(English Language Test for International Students)は、アメリカの高校授業を受けるのに必要な「聴解力」や「読解力」を審査する高校生のための英語能力判定テストです。SLEPに替わる新たな英語レベルチェックテストとしてCSIETが開発され、現在ホームページで紹介されています。
このテストには、英語の文法語法や長文問題に加えて、基礎的な算数問題を含む高校レベルの一般教養問題に答える要素が加わっています。アメリカの高校が留学生の受け入れに際して、ELTiSのスコアを求めることになります。ELTiSの得点として80点(100点満点)が必要です。エルティスはどんなテストなのかご紹介します。試験時間は約80分で休憩はありません。
構成と問題数:
◎リスニング24問(約30分)
Part 1: Follow Classroom Directions(クラス指示の理解)
Part 2: Comprehend Mathematical Language(数学的言語の理解)
Part 3: Understand Classroom Dialogue(クラス対話の理解)
Part 4: Listen and Respond to Academic Lectures(学問講義の理解)
◎リーディング26問(約50分)
Part 1: Demonstrate Vocabulary Knowledge(語彙知識の理解)
Part 2: Read a Graph(グラフを読解)
Part 3: Read and Respond to Academic Texts(学問用語の読解)
解答では、リスニング問題は三者択一、リーディング問題は四者択一のマークシート方式です。尚、資格試験対策ELTiSの受験ガイドはエース留学センターでも配布される予定です。
高校交換留学のコーディネーター
アメリカ高校生交換留学のプログラムには、この催しを支援する多くのボランティアが運営にかかわっています。全米には、数百名のコーディネーターと呼ばれる人々のネットワークが存在します。各州には、その州全体の高校生交換留学プログラムを管轄するステイト・コーデイネーター、またはリジョナル・ディレクターと呼ばれる人がいます。これを担当している方は、各州在住の有志で、ライオンズクラブやキリスト教財団のメンバーとして奉仕活動に通じた方や、リタイヤをされて社会活動に従事されている著名な方の場合が少なくありません。さらに、各地域にはローカルコーディネーターとよばれる方がこの活動を支援しています。現役の教師や元教師、専門職、主婦など、老若男女を問わず様々な人々が活動を支えています。いずれの方も異文化交流の大切さを熟知しています。ローカルコーディネーターは、高校交換留学プログラム
にとって各コミュニティにおける代理人の役割を果たします。ホストファミリーを希望するファミリーの面談を行います。面談のため家庭を訪れる際には、家族全員がその場に居合わせるよう依頼します。一家がホストファミリーとしての役割を理解しているかどうかを確認し、留学生が寝起き、晩強する部屋も確認します。一家全員が留学生を受け入れることに同意しているかを確認することもコーディネーターの仕事です。
ローカルコーディネーターの役割は、
1)ホストファミリーの事前の調査、面談を行う。
2)留学生の到着に先立ち、ホストファミリーと受け入れの打ち合わせを行う。
3)留学生およびホストファミリーの指導、カウンセリング、必要に応じて留学生宅を訪問する。
4)本部に留学生の生活や学習状況について状況報告を行う。
5)万一の緊急時には、留学生やホストファミリーの援助にあたる。
ローカルコーディネーターはアメリカ留学機関本部より随時指導打ち合わせを受けており、毎年行われる研修ミーティングにも参加しています。また、ローカルコーディネーターは留学生をはじめ、ホストファミリーや学校側の日頃の相談役にもなります。問題が生じた場合は、迅速にリジョナル・ディレクターや本部へ連絡をします。この他、各種活動や旅行、文化イベントを企画するのもコーディネーターの役割です。
UKiset の登場
英国中等教育課程(日本の中高等学校レベルの教育機関)への進学英語能力適正テスト UKiset(ユーケー・アイセット)が昨年より発表され、昨日、日本の英国教育省の出先機関 British Council で紹介されました。このテストは、主にイギリスの私立高校、ボーデイングスクール(寄宿舎制高校)への英語能力入学適正試験として開発されて、2013年よりインターネットを利用したオンラインテストとして運用が開始されて、世界的な広がりを見せています。テストの対象者は英語を第二言語とする10才~17才の学生で、イギリスの中等教育課程に留学を目指す生徒の能力適性を計ります。試験の時間は約2.5時間で、英語の「読む、書く、聴く、話す」に加えて、「英国学校の学習適正」を計る5つのセクションで構成されています。英国の教育財団 Gabbitas Education により企画されて、ケンブリッジ大学語学センターによって開発された背景から、IELTSのテスト形式に相違するパターンのテストです。ライティング・セクションは自分の意見を英作文形式で述べなくてはならないために、この年代の日本の生徒には極めて難しい取り組みといえます。従って、このテストを受験するためには、少なくとも日本のインターナショナル・スクール等で専門的な英語教育を受けているか、または UKisetの受験対策指導を特別に受けて受検の準備を行う必要があります。日本では、東京の British Council で受験料£160(変更の可能性有り)で予約受検ができます。今後の見通しとして、イギリスの高校留学は、このテストの普及によって難しくなることが予想されます。
TOEICテストについて
TOEICテスト(トーイック)は Test of English for International Communication の略称で、英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通のテストで、世界約61ヶ国で実施されています。公式テストとIPテストがあり、IPテストは団体特別受験制度によるもので公開テストをTOEIC委員会IIBCへの登録により団体一括受験として行うものです。
TOEICテスト結果は合否ではなく、10点から990点までのスコアで評価されます。評価の基準は常に一定であり、受験者の能力に変化がない限りスコアも一定に保たれます。これにより受験者は正確に現在の英語能力を把握できたり、目標とするスコアを設定することが可能です。ListeningとReadingという受動的な能力を客観的に測定することにより、SpeakingとWritingという能動的な能力までも含めた、英語によるコミュニケーション能力を総合的に評価できるように設計されています。テストは英文のみで構成され、その国独自の文化的背景や言い方を知らなければ解答できないような問題は排除されています。
公開テストは現在IIBC主催により日本国内主要都市で毎月受検ができます。海外では韓国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスでも現地の委託機関によって開催され、受検が可能です。今回受検不正があったイギリスではこの委託機関の管理不備によるものと指摘されています。
IPテストは、企業・官公庁・学校等では2014年度に約2960団体が採用しています。企業では自己啓発や英語研修の効果測定、新入社員の英語能力測定などといった目的の他、海外出張や駐在の基準、昇進・昇格の要件としても利用されています。大学・短大では英語課程の単位認定や推薦入試などでも利用され必修とされています。
TOEICが英国政府より認定取り消しに
英語力の証明資格として、現在も最も広く使われている国際的な英語検定試験であるTOEICテストと、TOEFL-IBTテストが、先月から急遽イギリス・ビザの申請、査証更新の申請、イギリス国内居住権の申請などの公式な手続きに使えなくなりました。これにともない、近くアイルランドでも同様の措置がとられる可能性があります。すでに、イギリス政府の Home Office(ホームオフイス==英国法務省入国管理本部) のウエブサイトでも2014年5月現在時点で、TOEICテスト、TOEFL-IBTは、査証申請時の英語力証明としての指定テストのリストからは削除されています。
同時に、このテストの主催運営をしているアメリカの非営利団体 ETS (Education Testing Service)も、イギリス国内でのこれらのテストの受験預託業者による違法行為を正式に確認したために、イギリス政府内務省と締結されていた英語力認定試験としてこれらが認められなくなったことを発表しました。今回の出来事は、このテストのイギリス国内での受験に際しての不手際に起因するものとされますが、今後これらのテストの信頼性が他国にも影響を及ぼす可能性があります。同時に、現在ビザを申請している留学生や、ビザ申請のためにこれらのテスト受験準備を進めてきた留学生たちに多大な影響が出ることは免れません。今後はイギリス留学の英語力証明として、ケンブリッジPETや、IELTS(アイエルツ)が有効な検定試験と定められたために、これらの試験の国際的なシエアが短期間で伸びることが予想されています。
TEAP-2014年度申し込み開始
上智・立教・関西大その他で採用される英語試験TEAPティープ、昨日、英検協会より5月12日から第1回TEAPテイープの申込みを受付を開始する連絡がありました。広島市は7月20日に女学院大学で開催される予定です。TEAPティープは、英検協会と上智大学が開発したテストで、高校3年生を対象に大学入試を想定して、「読む」 「聞く」 「書く」 「話す」 の4スキルを測定するテストです。問題は、英検準2級~準1級程度が目安とされ、大学で必要とされる語彙、学科、生活を想定した内容に特化しています。その意味でTOEFL-IBT、IELTSと同類のテストといえます。TEAPは、合否を判定するのではなく、現在の英語力を能力レベルを表す区分標記であるバンドで評価します。大学受験は各大学が設定している基準スコアを満たせば出願できます。
このテストは年3回実施され、今回が1回目です。受験は3セクションで構成され、パターン1は「Reading / Listening」、パターン2は「Reading / Listening + Writing」、パターン3は「Reading / Listening + Writing + Speaking」となっており、出願先の求める要件によって選べます。出願先となる上智大学は、国際教養学部を除く、全学部、全学科で利用されます。立教大学は、自由選抜入試の異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学部、経営学部経営学科、国際経営学科で採用されます。関西大学は、AO入試、スポーツ特試、指定校推薦入試、特別選抜入試の外国語学部で採用することになっています。札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の会場でテストは実施される予定です。次回は9月20日で、第3回は12月14日に開催される予定です。受験料はパターン1=6,000円、パターン2=10,000円、パターン3=15,000円と発表されています。エースは東京都、広島県、愛知県、香川県の高校生受講生の申し込みの支援を行います。
IELTSアイエルツの台頭
日本では、TEAPテイープが開発され、2013年より高校生の私立大学受験の英語試験として取り入れられている現状を前回のブログで紹介をしました。経済やビジネスシーンの国際化と同様に、国内の英語教育もボーダーレスな環境のもとで急激な国際化を求められています。
日本の高校生の英語検定といえば、「英検」が中心でした。その理由は、英検の準2級~準1級の試験問題がセンター試験英語や国立大学入試に類似していたため、英検を修得することで大学入試を克服できるというメリットにありました。これを他の英語検定試験である TOEIC Bridge、TOEFL Junior、 GTECなどが追随してきましたが、今後はIELTSアイエルツが急進する可能性があります。IELTSは英語の母国イギリスが世界に誇る英語検定です。このテストの原型であるケンブリッジ英語検定試験は80年以上の歴史のある格式の高いテストです。このテストで7.0バンドスコア(9.0満点)を達成すると、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学に出願ができます。さらに、イギリスの査証申請、労働許可、居住許可の申請まですべてがこのを英語検定証明で賄えるということで、イギリスの教育省が「高校留学から永住権まで」の言語資格と正式に制定しました。現在イギリスの学生ビザを申請して入国許可を得るにはIELTSなしでは実現が不可能です。IELTSの試験開催センターも整備され、世界中のほとんどの都市で受験ができるようになりました。日本では、英検協会がこのテストの運営を受託し、日本国内の多くの都市で通年で IELTS試験を開催しています。競合が発生したときは、常に格の高いものやサービスがをシェアを伸ばしてiきた社会現象は英語の世界でも同様かもしれません。
TEAP英語試験の発表
東京大学では、大学入試に先行して院試(大学院入試)の英語試験は、ほとんどの学部でTOEFL-IBTが採用されることが決定しました。これに追随して、京都大学、大阪大学も、将来TOEFL-IBTを英語試験として採用する可能性があります。また、東京大学の学士課程も出願条件としてTOEFL-IBTのスコア利用が検討されています。大学がこれらの実用型英語試験を取り入れて受験条件とするひとつの理由は、大学の国際ランクでの格付けにあります。日本の大学で現在世界100位に入る大学は、前述の3大学に限定されています。2014年の日本の総理大臣談話として、今後10以上の大学を世界大学100位にランクインさせたいというアナウンスがありました。その候補に挙がっているのが東北大学、九州大学、北海道大学、名古屋大学、一橋大学などで何れも優秀な大学です。世界大学ランクの上位に位置する多くの大学は、ハーバード大学、MIT、ケンブリッジ大学、ロンドン大学群カレッジ、UBCなど英語圏の大学です。これらの大学は各国を代表する名門校ですが、世界の大学ランク格付けは大学院の研究論文の引用数に左右される場合が多いため、この論文を英語で発表している大学の評価が高くなりやすい傾向があります。英語による学問に限らず、英語の歌、英語の書籍、英語のインターネット情報は「英語という言語の優位性」で何れのマーケットでもシエアを高めることができています。日本の大学も高度な英語能力を持った生徒を養成し、大学の学問資源の英語による国際化を計ることが不可欠になりました。これらの影響もあって、大学受験での実用英語検定の利用が促進されている訳です。同時に、日本の英語教育の変革も急速に進んでいます。今年は、TEAPティープ英語検定が出現しました。このテストは上智大学と英検協会が「高校生のアカデミック英語力を判定するテスト」としてCEFR基準によって企画されました。関西大学、中央大学の一部学部受験でも取り入れられる予定ですが、英語系や国際系と称される大学はこの英語検定を大学出願エントリー条件の一つとすることが予想されています。
高校生に求められる英語力
今回は、高校生留学の見地からではなく、日本の高校生が国際時代と称される現代に求められる英語力について考えてみたいと思います。日本の学生の英語検定として最も普及している「英検」を基準として考えると、一般の高校生は、最低準2級は到達したいレベルです。大学受験のセンター試験の英語レベルを考えてこのテストで高い点数を目指すためには、2級を難なく克服して、準1級の取得を試みておくべきでしょう。準1級レベルに合格できた高校生は、長文読解、ライティング、英会話の発話も上手にこなせるので、国立大学二次試験でも高得点を期待できます。英検準1級レベルであれば、高校留学に参加しても安心して海外の生活を送れます。高校生で英検準1級を持っている生徒は全国で5千人程度と少なめですが、稀少であるからこそ価値がある資格なので、この検定に高校年代に合格するために遅くとも中学2年時点から家庭教師、外国人講師、英会話学校などに通って英語の特別学習を充実することを推奨します。注意することは、語彙文法学習を主に教えている塾で学ぶのではなく、「実用的な英語を反射的に運用できる」先生のもとで学習を行うのが理想です。今後はリスニングにも重点がおかれるために、発音が正確で、リスニング指導や長文読解の指導に長けた先生が最適です。現在、日本の大学の入試制度は変革期にあり、特に英語試験が実用的なテストへと大きく変貌しようとしています。この「実用的な試験」とは、TOEFL-IBTやIELTSを示すものです。難関といわれる上位大学から TOEFL-IBTそのものか、このテストの本質に近い「4スキル型」での英語入試が主流になることは間違いありません。次回はもう少し詳しくこの話を続けたいと思います。