「自分の身の丈に合わせて」という今年度より導入された「英語の外部試験利用の大学受験制度」に際しての萩生田文部科学省大臣の発言が大学を受験する生徒やその保護者の反発を買っていることが報道されています。
萩生田相は、先日、大学入試に「英検やTOEFL」などの民間試験を使うことについて、議員の反町氏から「お金や場所、地理的な条件で恵まれている人が受ける回数が増えるので、それによる不公平と公平性に問題はないのか」との質問により見解を正された時にこの発言をしました。
英語の大学受験への英語の外部試験利用には、当初より賛否両論がありました。この外部試験は、受験料が高額なケース(一部の試験は1回の受験で2万円~3万円必要です)があることから、受験生の経済的な背景によってはそれを負担できない家庭があるとの声が上がっています。また、生徒が住む居住地の状況、例えば島嶼部や山間部に住む高校生はこれらの外部試験を都市部まで行かないと受験できないことが考えられ、都市部に住む高校生と教育機会の不公平が生ずるというものです。
今後のこの制度に対する取り組みの中で、文科省による受験料の経済的支援や軽減措置、どこでも試験を受けられる受験機会を増やす改善などが必要と思われます。
インターネットが普及した現代、オンラインによるCBTテストの開催を遠隔地の学校でも提供できる取り組みや、IPテストの利用などをこの対策として期待したいと思います。
広大接続改革について
1.大学入試において、英語資格・検定試験を活用し、英語4技能の評価を推進することの意義について
○ なぜ、大学入試で英語4技能を評価することが必要なのですか。
グローバル化が急速に進展する中、英語によるコミュニケーション能力の向上が課題となっています。
このため、高等学校学習指導要領では、多様な人々と、互いの考えや情報を主体的に伝え合うため、英語の「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を総合的に育成することを求めてきましたが、高校3年生の英語力は特に「話す」「書く」に課題があることが調査結果から明らかとなっています。さらに、大学においても、グローバル化時代を担う人材を育成するためには、これら英語4技能の習得は重要です。
このため、大学入試において、高等学校段階までに育成した4技能の英語力を適切に評価することが必要です。このことは、高等学校において4技能をバランスよく育成する授業改善を一層進めることにもつながります。
○ なぜ、大学入試で英語4技能を評価するために、民間の資格・検定試験を活用するのですか。
大学入試は、高等学校段階で修得した知識や技能等を適切に評価することを目的としていますが、英語に関しては、約50万人規模で同一日程一斉実施型試験による共通テストとして「話す」「書く」能力を含めた試験を実施することは、日程面も含めて現状において実現は極めて困難です。
一方、民間の資格・検定試験は、4技能を総合的に評価するものとして社会的に認知され、高等学校教育や大学入学者選抜で活用が進んでいます。
(参考)
・大学生の高校生時の英語資格・検定試験の受験状況
約37%(約23万人(推計))(平成27年度文部科学省委託調査より)
・大学入学者選抜において英語資格・検定試験を活用している大学(平成27年度)
(国立大学)計28.0%、推薦入試17.1%、AO入試14.6%、一般入試7.3%
(公立大学)計22.6%、推薦入試16.7%、AO入試10.7%、一般入試1.2%
(私立大学)計39.5%、推薦入試30.7%、AO入試21.2%、一般入試6.4%